ダボス会議って?10の疑問に答えます
毎年1月、スイス東部のダボスで開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)。世界のビジネスリーダーや首相らが一堂に会する会議だが、会議の参加費やメンバー企業の年会費はいくらなのか。また開催国のスイスは警備に一体どれくらいの予算を投じているのか。スイスインフォが調べた。
1.WEFとは
本部はジュネーブ。経済学者クラウス・シュワブ氏が1971年に非営利団体として創設。当初は欧州企業の経営力向上が目的だったが、現在では経済、環境など多様なテーマを議論する場に発展した。加盟企業はパートナー、メンバーの種別があり、WEFに年会費などとして出資している。
2.パートナーとは
100社の多国籍企業で構成。スイスの重電ABB、食品最大手のネスレ、金融大手クレディ・スイスのほか、英国の金融バークレイズ、国際会計事務所デロイト、ドイツ銀行、米グーグルなどがある。パートナー企業は、WEFが設定するアジェンダの決定に関わる。各社は年間11万5千フラン(約1300万円)をWEFに出資している。
3 メンバーとは
1200社(うち1千社は世界の主要企業)の企業で構成。WEFによると、年会費は約3万1500フラン。
4 ダボス会議の参加費
パートナー、メンバー企業の社長らが会議に出席する場合、別に参加費4万5千フランがかかる。
5 メンバー、パートナー以外の出席者は
各国政府の代表者や、WEFに加盟しない俳優などの出席者については参加費がかからない。
6 開催国スイスの役割
ダボス会議の開会式は、スイスの大統領が執り行う。今年はドリス・ロイトハルト大統領が出席する。
スイス連邦政府は、ダボス会議を「スイスにとって極めて重要なイベント」で、世界のリーダーがグローバルな問題を議論する貴重な機会だと位置づける。
期間中の警備人員として、連邦国防省は最大5千人を雇用することができ、予算も約2800万フランが確保されている。国、州などの行政当局は警察活動などに約900万フランをねん出している。
7 ダボス会議が名を広めたわけは
同会議には、政治、経済、学問などの分野で活躍するリーダー2500人超が90カ国以上から集まる。出席者はWEFが設定したグローバル・アジェンダ(議題)に沿って意見交換する。WEFによれば、同団体の目的は「世界を良くするため」。
8 WEFは世界に大きな変化を与えたか
対話と意見交換の場の提供を目的としているため、直接的にはない。だが、各界のリーダーが集まり、重要な取り組みが始動するという意味で、同会議は一定の役割を果たしている。
9 なぜダボス会議は批判されるのか
会議の趣旨と外れ、結局は商談の場などにしているという理由から、一部の専門家は同会議を「金持ちビジネスマンのクラブ」と揶揄(やゆ)する。WEFがグローバリゼーションを助長し、貧困や環境破壊の悪化を引き起こしているという批判もある。
10 WEFは批判をどう受け止めているか
ある程度は考慮している。ここ数年、WEFは多様性の受け入れやサステナビリティ(持続可能性)などの問題に取り組み、市民団体や科学、文化界の代表者をゲストとして迎えている。
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